総合型選抜とは?AO入試・推薦入試との違いと「合格までの準備ロードマップ」

そもそも「総合型選抜」とは何か

近年の大学入試では、「一般選抜(一般入試)」「学校推薦型選抜(推薦入試)」と並んで、「総合型選抜」という入試方式が大きな割合を占めるようになっています。総合型選抜は、かつて「AO入試」と呼ばれていた方式が制度改正によって名称・中身ともにアップデートされたものです。

総合型選抜の最大の特徴は、「学力試験の点数だけで合否を決めない」という点にあります。大学が掲げる「求める学生像(アドミッション・ポリシー)」に合っているかどうかを重視し、次のような要素を組み合わせて、多面的・総合的に評価します。

  • 志望理由書・自己推薦書などの書類
  • 高校での学習成績や活動実績(調査書)
  • 面接・口頭試問・プレゼンテーション
  • 小論文・レポート・課題提出
  • 共通テストや各大学独自試験による学力評価

かつてのAO入試では、面接や書類中心で「学力をあまり問わない」というイメージが強くありました。現在の総合型選抜では、「学力+人物」をバランス良く見る方向に舵が切られ、原則として何らかの学力評価を取り入れることが求められています。

この変化により、「学力にはそこそこ自信があるが、一般入試一本勝負は不安」「自分のやりたいことや活動実績を評価してほしい」という受験生にとって、総合型選抜は重要な選択肢になっています。

総合型選抜・AO入試・推薦入試の違い

ここでは、「言葉の違い」だけでなく、実際の仕組みや評価のされ方がどう違うのかを整理していきます。

1. 名称と位置づけの違い

  • AO入試
    2020年度まで広く使われていた名称で、大学のアドミッション・オフィス(Admissions Office)が中心となり、「学力試験に依存しない入試」として広がりました。
  • 総合型選抜
    2021年度入試から導入された新名称で、AO入試を発展・制度化したものです。学力評価を含めた「総合的な選抜」が基本となりました。
  • 学校推薦型選抜(推薦入試)
    旧「推薦入試」にあたり、学校長の推薦を受けて出願する方式で、「指定校推薦」「公募制推薦」などの種類があります。

名称変更の背景には、「人物評価だけで学力を十分に見ない入試」への批判を踏まえ、学力も含めて公平・多面的に評価する仕組みに整え直す、という狙いがあります。

2. 評価の軸と試験内容の違い

代表的な違いを簡単にまとめると、次のようになります。

入試方式主な評価軸試験内容の例向いている受験生のイメージ
総合型選抜学力+意欲・適性・将来性書類審査、小論文、面接、プレゼン、グループディスカッション、学力試験(共通テスト・独自試験など)やりたいことが比較的明確で、自分の経験を言語化して伝えられる人
AO入試(旧)意欲・個性・適性(学力は任意)書類審査、面接、課題提出など(学力試験なしまたは任意)学力試験よりも人物面で評価されたい人
学校推薦型選抜高校での成績・生活態度・活動実績調査書、推薦書、小論文、面接など内申点や評定が高く、高校生活の実績を武器にしたい人
一般選抜学力(教科試験)共通テスト+個別学力試験科目試験の得点で勝負したい人

総合型選抜と学校推薦型選抜の違いとしてよく挙げられるのは、次の2点です。

  • 総合型選抜:大学が公募する形式で、高校の推薦枠に縛られず挑戦できる。評価の中心は「その大学にどれだけ適しているか」という意欲・将来性。
  • 学校推薦型選抜:高校からの推薦が前提で、評定平均や出欠状況など、高校生活の実績が重視されやすい。

また、選考期間にも特徴があります。総合型選抜はエントリー・面談・課題提出などを含め、長期にわたるプロセスになる場合が多い一方で、学校推薦型選抜は出願〜試験〜合否発表のスパンが比較的短いケースが多く見られます。

3. スケジュールとチャンスの数

総合型選抜は、一般に9月頃から選考が始まり、12月頃までに合否が決まる大学が多いとされています。学校推薦型選抜も秋〜冬にかけて実施されますが、総合型選抜のほうが「説明会・エントリー・面談・本出願」と段階的に進むことが多いため、準備開始のタイミングが早くなる傾向があります。

このため、「とりあえず高3の夏から考え始める」となると、出願条件(探究活動、資格、成績など)を満たせないケースもあり、総合型・推薦型のチャンスを逃すことにつながりかねません。早めに情報を集め、逆算して準備することが重要です。

「合格までの準備ロードマップ」を描く

ここからは、高1〜高3を想定して、「総合型選抜で合格を目指すための準備ロードマップ」を、起承転結の「転」にあたる“戦略”として整理していきます。あくまで一例ですが、自分の状況に当てはめて読み替えてみてください。

高1:自己理解と「仮の志望像」をつくる時期

高1の段階で、明確な志望校や学部が決まっていなくても問題ありません。ただ、「自分は何に興味・関心があるのか」「どんなことにやりがいを感じるのか」を少しずつ言語化しておくと、その後の動き方が大きく変わります。

  • 自己分析ノートを作る(好き・得意・頑張ったこと・悔しかったことを書き出す)
  • 部活動・生徒会・ボランティア・検定など、「続けられそうな活動」を一つは持つ
  • 探究学習や課題研究のテーマを、自分の興味に寄せて選んでみる
  • 大学のオープンキャンパスやオンライン説明会で、ざっくりと学部・学科を眺めてみる

この段階では、「看護・医療系に興味があるかも」「心理・教育系も面白そう」といった“仮の志望イメージ”が持てれば十分です。重要なのは、「なんとなく高校生活を過ごす」のではなく、「総合型・推薦も視野に入れて動いておく」という意識づけです。

高2:活動の質と量を高める「仕込み」の時期

高2になると、定期試験や模試に加え、部活や探究活動も本格化し、忙しさが増してきます。その中で、総合型選抜を意識するなら、「活動を選んで深める」ことが大切です。

  • 高1から続けている活動の中で、「軸になりそうなもの」を1〜2個に絞る
  • 探究活動や課題研究を通じて、レポート・発表・コンテストなど外部に開く機会をつくる
  • 英検・TOEIC・各種資格など、出願条件やアピール材料になりそうなものを計画的に取得する
  • 気になる大学・学部の入試要項を確認し、総合型選抜・推薦の出願条件をチェックする

この時期に、「やってきたこと」と「行きたい大学で学びたいこと」を少しずつ接続し始める意識が重要です。「なぜその活動を続けているのか」「そこから何を学んだのか」を言語化しておくと、後の志望理由書・面接で大きな武器になります。

高3:具体的な出願戦略とアウトプットの時期

高3になると、いよいよ「出願」「選考」を見据えた具体的な準備が必要です。総合型選抜では、一般に次のような流れで選考が進みます。

  • 大学・学部の情報収集、入試要項・過去の選考内容の確認
  • オープンキャンパス・相談会・個別面談などへの参加
  • エントリー・出願(志望理由書・活動報告書・調査書提出など)
  • 一次選考(書類・小論文・基礎学力テストなど)
  • 二次選考(面接・プレゼン・グループディスカッションなど)
  • 合否発表

これに合わせて、高3の春〜夏には次のような準備が求められます。

  • 志望理由書の下書き作成とブラッシュアップ
  • 活動報告書やポートフォリオ(探究・課外活動のまとめ)の作成
  • 小論文・課題レポートの演習(頻出テーマや志望分野に沿って)
  • 面接対策(個人面接・集団面接・プレゼンの練習)
  • 共通テストや大学独自試験に向けた学力の底上げ

「人物重視の入試だから、勉強はほどほどでいい」と考えてしまうと、学力試験で足元をすくわれるリスクがあります。現在の総合型選抜は、あくまで「学力+人物の総合力」で判断されることを忘れないようにしましょう。

自分に合った入試戦略を描き、「早めの一歩」を踏み出そう

総合型選抜・AO入試・推薦入試は、それぞれ評価軸や出願条件、スケジュールが異なりますが、共通しているのは「高校生活の過ごし方がそのまま入試の材料になる」という点です。

  • 総合型選抜:
    自分の興味・関心や将来像を起点に、高校での学びや活動を組み立てていきます。「なぜこの大学で、この分野を学びたいのか」を、自分の言葉で語れるように準備することが重要です。
  • 学校推薦型選抜:
    日々の授業・定期テスト・生活態度を大切にし、評定や活動実績を積み重ねます。高校の先生とのコミュニケーションを大切にし、推薦枠を見据えた行動をとることが求められます。
  • 一般選抜:
    科目ごとの学力を着実に高めつつ、他の入試方式との併用も視野に入れることで、受験のリスクを分散できます。

どの方式を選ぶにしても、「高3になってから急に動き出す」のではなく、高1・高2から少しずつ準備しておくことが、結果的に「受けられる入試の選択肢」を増やすことにつながります。

そして、総合型選抜で合格を勝ち取る受験生の多くは、「特別な才能がある人」だけではありません。日々の授業・部活・探究・ボランティアなど、目の前の活動に主体的に取り組み、それを振り返って自分なりの意味づけをしてきた人です。

「まだ具体的な志望校は決まっていない」「自分にはアピールできることがない」と感じていても、今から高校生活の過ごし方を少し変えるだけで、総合型選抜・推薦入試という新しい道が見えてきます。自分に合った入試方式を見極め、早めに情報を集め、今日できる小さな一歩から踏み出していきましょう。

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